テロや軍事侵攻からのサバイバルアイテムとは?

防災

2022年2月24日にロシア連邦がウクライナに侵攻してから数ヶ月が経過しました。連日のニュースでは新型コロナウィルス感染状況とウクライナ情勢を報道しない日はないほど日本でも動きが注目されています。
イラクのクェート侵攻を機に始まった湾岸戦争や、ボスニア紛争なども世界的には注目された戦争で連日報道もされましたが、今回は侵攻した国が隣国ロシアということもあり、日本でも危機感をもって報道されているように感じます。
地震などの突然大きな被害が起きる災害や、風水害のように被害がある程度予想される災害などと違って、テロや戦争は突然起きてしまいます。もちろん、現地ウクライナではロシアが攻めてくるのではないかという噂も立ち、避難準備をする人や一足先に国境付近へ避難する人もいましたが、多くの人はなんとなく気配を感じつつも実際に軍靴が国境を越えるまでは具体的な行動に移れなかったわけです。
一つは自分の生活する土地を離れがたいという哀愁の気持ちと、もう一つは全てを捨てて異国を含めた他の土地へ避難するという抵抗感、仕事や子育てをしている現役世代や学校に通っている若者などは特に今の生活を捨てる決断ができなかったとしても責められません。
同様に、テロも突然起こります。9.11の時のアメリカに在住していた日本人や、地下鉄サリン事件の時に現場に居合わせた人々などは、突然起こった今までに経験したことのない出来事にどうして良いかわからないという人も多かったかもしれません。
テロや軍事侵攻が、今の世界情勢で、特に日本において起きる確率は低いと思われてきましたが、地下鉄サリン事件は都市部で化学兵器によるテロが起きた最初の事例として世界では認識されていますし、今回のウクライナ情勢を目の当たりにして「日本に攻めてくる国など無いだろう(攻める理由もメリットもない)」という楽観的な考えをする人もいなくなりつつあります。
とはいえ、突発的に起きるテロと、兆しは感じつつも突然事態が急変する軍事侵攻では対処も準備も異なります。また、同時多発テロなどはありつつも基本的に限定されたエリアで発生するテロに対して、軍事侵攻はより広範囲なエリアが避難すべき対象となります。

テロなど突発的な犯罪への対応

日本をはじめ世界で奨励される対テロ行動に「Lie(伏せる)、Run(逃げる)、Hide(隠れる)」というのがあります。外務省の海外安全ホームページ「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」にも紹介されていますが、まずは伏せるなど最初の一撃を避け、そのあとは何をおいても逃げる(犯行現場、襲撃者から遠ざかる)ということがとるべき最初の行動です。
離れた場所で何かあっても近づかないということでもあります。逃げられない状況であれば隠れるということになります。つまり、自分の身の安全を確保するのが第一で、通報などはそのあとで行うべきということです。
▼外務省 海外安全ホームページ
ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル

何か事件があると、スマホのカメラを向けて撮影したり、SNSに投稿したくなります。ニュース番組でも視聴者撮影となっている動画が頻繁に登場しますので、自分も!という気持ちはわかりますが、事件であれば逆上した犯人やテロリストの標的になる可能性もありますし、事故であれば突然の爆発や建物の崩壊などに巻き込まれることがあります。「君子危うきに近寄らず」が一番ということになります。
こういった突発的な犯罪やテロから逃げるにはとにかく身軽に身につけているものだけで逃げる必要があります。旅行中などでキャリーケースや大きなリュックを背負っていた場合には、時にはそれを捨てて逃げる選択を瞬時にする必要があるかもしれません。

そこで重要になるのがEDCアイテムです。充電器や救急用品など最小限のコンパクトなアイテムを持っていると、メインの荷物を手放してしまっていても当座の事態には対応できることになります。
現金なども定期入れ、身分証ケース、財布など複数に分けて入れておけば、例えば犯人に金品を奪われた後で逃げた場合でもさらに遠くに逃げるための資金などを手元に残しておけるということになります。

武力侵攻などへの対処はある程度の計画性が必要

テロや犯罪とは別に、武力勢力の侵攻を受けたり、他国の武力侵攻を受けた際には長期的な避難を余儀なくされます。運良く短期間で解放された場合でも、住居や生活基盤が破壊されており、すぐ戻って元の生活が遅れるという保証はありません。
もう一つ異なるのはある日突然起こるのではなく、ある程度の兆候がみられるということです。ウクライナ情勢では「そんなことにはならないだろう」という楽観的な観測はありつつも、国境周辺で演習があったり、部隊の大規模な移動があるなど前兆は観測されていました。
日本の場合には、周囲を海で囲まれているので、大規模な侵攻には船舶を伴います。急激な侵攻の場合でも輸送機での空挺降下や深夜に小型艇での上陸など小規模な作戦から開始されるので、攻略対象エリア、降下、上陸エリアに住んでさえいなければそこから対応することも可能です。
とはいえ、長期間の避難をするためには準備するものは膨大で分量も多くなります。スーツケース一つとリュックで避難するとしてもその準備は大変です。

日本国内で避難をするか外国へ逃げるかにもよりますし、避難先に身寄りがいるかどうかによっても変わってきますが、前兆を感じた段階で避難準備に取り掛かる必要があります。
いずれにしても、前兆を感じた段階で避難予定先に当面の生活用品と一部の家財を送り受け入れて置いてもらい、できるだけ早く(例えば家族だけでも)避難先に移動するのがベストです。事態が急変してからになると多くに人が避難を始めて交通機関に殺到するので、持てる荷物も制限されますし、そのタイミングでは物流も止まってしまうこともあり得ますので、前兆段階で移動できる人は移動するのが良いでしょう。
残った人も、身一つでなんとか避難先にゆくことはできるかもしれませんし、既に送った荷物や家族と合流できればそこからの再建は、とるものもとりあえず避難してきた人よりは容易になるかもしれません。

「脱出(長期避難)」への備えは大規模災害でも活用できる

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武力侵攻を受けての長期避難のための準備は、大規模災害で居住地からの長期避難(脱出)にも役立つものです。武力侵攻など滅多に起こらないと思っても、大規模災害は起こるかもしれないと準備するのは大切です。
大規模災害を受けての長期避難は、事後の避難となることが多いので、事前の荷物の送付は行えませんが、キャリーケースとリュック程度の荷物を準備して置いて、交通機関が動いているうちに、交通機関が復旧したらすぐに、避難先に移動するというものです。
大規模災害からの長期避難では、建物など無事であれば残してきた家財は無事である可能性は多少ありますので、まずは避難を優先して良いでしょう。
武力侵攻の兆候を感じでの避難も、大規模災害を受けての避難も、難しいのはそのタイミングとなります。
避難のタイミングを逸しないように、また、混乱の最中に避難を余儀なくされることのないように、事前のタイムラインの整理(マイタイムラインの設定)と、避難用品の準備をしておくことが大切でしょう。

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