非常食や防災アイテムは、悪いコンディションのときに試すべし

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非常食など、防災アイテムの導入は最優先事項というわけでもない場合が多く、多くの場合、カタログの中から適当に選んでしまう場合もあります。もちろん、備えないよりは備えた方が良いですし、防災用の非常食としてラインナップされているものは、カロリーなどの栄養計算もしてありますので、非常用としては十分な内容であるものがほとんどです。

多くの場合、長期保存を可能にするために水分量を減らしていたり、通常よりも固い、通常よりもしょっぱい、など普段食べ慣れたものとは一味違った内容になっているものもあります。一方で最近では、非常食と思えないくらい美味しく仕上がるものや、お湯で戻すだけなのにお店で出てきそうなビーフシチューみたいな完成度の高いものもありますし、缶を開けたらふわふわのパンが食べられるという缶詰も登場しました。

非常時は味の感じ方や食欲が平時と異なる

「職場の非常食、家庭の非常食、環境と目的での違い」でも触れましたが、職場での備えと家庭での備えでは非常食ひとつとっても用意するものが異なります。また、「マイタイムライン」の設定によっても内容や分量は異なるかもしれません。ですが、いずれの場合にも言えるのは、試食なり訓練として事前に調理、喫食するのは、災害時を想定し、コンディション(疲れている時など体調が万全でない、エアコンを切るなど環境も整っていない)が悪い状況で試すことをお勧めします。

災害時は、長時間、長距離歩いてようやく会社や自宅にたどり着き、ガスや水道が止まった状態で非常食を食べる。という状況が発生します。「沸騰したお湯を注いで5分で食べられる」ものでも、冷たい水で戻す必要があったり、水分の少ないカンパンやクラッカーと500mlのペットボトル1本だけという場合もあります。

会社の場合、電気ポットはあるかもしれませんが、カセットガスコンロはないことが多いでしょう。停電した場合、水道は止まり、ポットに残っているお湯はすぐなくなってしまうので、多くの場合は非常食と一緒に備蓄されている水しかないということになります。

非常食のセットの中には、水と反応させると発熱するパックが入っていて、非常食を温めることができるものもあります。冬場は特に暖かい飲食物があったほうがありがたいと思います。

導入時に、ちょっとしょっぱすぎるかな?と思っていた非常食も、倒れた家具を戻したり、散らかったフロアを片付けた後に食べると美味しく感じる場合があります。逆にしょっぱすぎて半分も食べられないということもあるかもしれません。実は、温かく加熱して食べる前提で味付けしてあるものは、冷えるとしょっぱく感じます。お湯が使えない場合には規定量より多めの水で戻すなどの工夫が必要かもしれません。

食料以外にも悪いコンディションで試しておいた方が良いものがある

食料に限らず、毛布やマットなどの避難セットに関しても同じことが言えます。エアコンが効いてる室内なら快適でも、エアコンが止まって暑い、寒い状況では耐えられない可能性もあります。

試しに5分か10分寝転ぶなら大丈夫だったマットも、一晩寝るとなると寝心地が気になります。災害時なので贅沢は言えないとしても一晩だけ耐えるのか3日くらい過ごすのかによって違いますし、1週間泊まり込みになるとしたら、もっと良いものにしておけばよかったということになるかもしれません。

会社の「マイタイムライン」を定めよう

東京マイ・タイムライン

全員分でなくても、長期間泊まり込む人向けに、性能の良いものを備えておくなど柔軟な対策も「会社のマイタイムライン」が制定されていれば可能になります。

そのほか、閉じ込められたときのための脱出工具や、もっと基本的なところでは消火器などの防災アイテムに関しても、事前に使い方や設置場所などを確認しておきたいところです。ビル主催の防災訓練などにも交代で参加するなど多くの人が対策を身につけておくことが重要です。

例えば、営業などの外回りの社員は男性がメインで、事務職は女性が多いという職場の場合には、会社にいることが多い女性社員が消火器などの防災アイテムの操作を覚えておいた方がいいという場合もあります。(もちろん、全員が扱えるようになってるのが望ましいですが)

会社によっては消火担当、避難誘導担当など役割分担をしている場合もありますが、担当者が外出していたり、怪我をして動けないなど、担当に偏りが生じる場合もあります。なので、メイン担当は消火班、サブ担当が避難誘導など不足する担当を補えるように複数の役割を分担するのも一つの方法です。

いずれの場合も、災害など日常から外れた異常事態は、万全の状態からスタートすることはほとんどないということを理解して、物資が不足している、人員が足りない状態から日常へ復帰、事業を継続するという考えで準備を進めるのが良いでしょう。

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