職場の非常食、家庭の非常食、環境と目的での違い

非常食
防災

防災というとすぐに思いつくのが非常食と非常用の灯りです。伝統的には、カンパンとロウソクを備えればという時代もありましたが、今ではレトルト食品とLEDライトと言った感じにアップデートされています。

「マイタイムライン」の想定をしている場合、自宅で過ごすのか、避難所に避難するのか、会社で避難するのかなどで対応が異なることに気づきます。もちろん、状況によっては似た対応になることもありますが、居住し続ける家庭の場合と、仕事のために出社して帰宅する職場では準備の内容も異なります。

自宅と職場の滞在時間を考える

緊急事態宣言下ではリモートワークも推奨されていましたが、宣言開けでは出社するパターンも増えてきました。職場の仲間と飲んで帰るような機会は減っているかもしれませんが、出勤の頻度や行動範囲に応じて非常食など防災アイテムの整備も見直してゆく必要があります。

営業など外回りなのか、内勤で事務所に滞在しているかでも変わってきます。外回りが多い人は、外出先で被災する可能性が高いですし、内勤の人は事務所で作業中に被災する可能性が高いです。リモートワークの人は自宅で被災する可能性が高いということになります。

近場を回っている人は被災後会社に戻ってくることが多いと思いますし、遠くを回っている人は場合によっては帰ってこれない可能性があります。電車移動なのか、社用車なのかでも変わってくるでしょう。

部門・部署や、業務内容によっても状況は変わるので、全社員共通の備えではなく、状況に応じた備えも必要になります。

職場と自宅の距離(通勤時間、交通機関)を考える

リモートワークの推奨によって、会社から離れた郊外に広いワークスペースを求めて移住した人もいるように、職場と自宅の距離や時間も重要になります。急行や直通運転などで通常は1時間もかからない通勤時間も、各駅停車や徐行運転、直通(乗り入れ)解除などで、2倍、3倍の時間がかかる場合もあり得ます。

交通機関が止まった場合、最悪徒歩で帰宅する必要も生じます。

ここでも社員一人一人の「マイタイムライン」が重要になります。災害発生時に、職場寄りで交通機関が止まるのか、自宅寄りで止まるのかでもその後の行動に違いが出ますし、長距離通勤の場合、中間地点で被災した場合どちらにも移動できないという事態もあり得ます。

職場が近くて自転車通勤できるという人でも、災害が起きると自転車が使えないということもあります。バイクや自動車での通勤の場合、災害時は規制されて通れないことも多いと思います。

「マイタイムライン」を設定して備えをアレンジしよう

東京マイ・タイムライン

基本的には自宅の備えを長期避難に対応させたものにして、職場の備えは帰宅までの一時的なものというのが最初に思いつくものですが、家族がいて、徒歩でもなんとか帰宅が可能で、自宅での避難が可能(自宅が倒壊しない、避難所が確保されている)であれば、自宅やその近所で避難生活をする前提が良いでしょう。

一人暮らしで、住居よりも別なところにお金をかけているという場合には、落ち着くまで会社やその近くで避難生活したいという人もいるかもしれません。

自宅などで避難生活をする予定の人は、自宅に備えてあるローリングストックや非常食を活用することになると思いますが、被害があったら自宅には戻らない(戻れない)想定の場合は、最低でも3日分程度の備えを会社に置いておくなどしておいた方がよいでしょう。(会社の了承も得ておくとより良いでしょう)

職場時間+自宅時間+通勤時間(非常時の移動時間)は?

東京マイ・タイムライン

ここまでの流れで、ワークスタイルと移動距離(時間)によって事情が異なることがわかりました。さらに、子供もいてどうしても帰宅しないとならないという事情があったり、一人暮らしなので会社に泊まり込んでも問題ない(むしろそうしたい)という人など個人の事情も考えると様々な状況があることがわかります。

その上で、自宅はもちろんとして、会社が避難に適している立地、構造なのかなどによって備える内容が変わってきます。

比較的強固な地盤で、水害や津波などの被害にも遭いにくく耐震基準もクリアしている場合には、会社を帰宅できない社員向けの避難所として活用するのは良いアイディアです。会社に残った社員が散らかった状況を片付けたり、社内外からの問い合わせに応じるなどの対応にあたってくれるので、BCP面からも心強い面があります。そういうスタッフ向けには自宅での避難に準じるしかりとした非常食があるとモチベーションも保たれやすいです。

レトルト食品やアルファ化米、フリーズドライ食品などを中心にバラエティに富んで、普段の食事に近いメニューになるとより良いでしょう。震災直後はガス漏れなどのおそれもあるので発熱剤などで加熱したり、そのまま食べられる非常食もあり得ますが、安全が確認されたらお湯を沸かしたり、缶詰などを材料に調理するなど、火を使えるようなカセットこんろ、電熱調理器、電子レンジなどもあると良いでしょう。

社屋の耐震基準がそこまでない場合や被災した場合、復旧するまで事務所機能が見込めない場合には、数日の一時避難の準備はあったとしても帰宅支援のための備えを中心に機動性の高いものである方が何かと便利でしょう。シリアルバーやブロックタイプの栄養補助食品やペットボトルの水など、片手で移動しながらでも食べられるもの、調理が不要なものなどが良いでしょう。

社用車は防災ボックスになる

納品などで使っている社用車は、移動中に被災した場合、路肩に放置して避難しなければならない場合がありますが、車内に防災アイテムを備えておくことで避難の助けになります。火を使わないで食べられる非常食や防寒や雨対策、その他行動を助けるための車載グッズを整備しておくと良いでしょう。

会社の駐車場に停めてある社用車も有効に活用できます。災害後すぐには車両として活用できなくても、車内で寝てもいいですし、プライバシーが確保できる空間としてバンとかであれば非常トイレの空間として使うなどもできます。

食料の備えと同レベルでトイレの備えも

つい食料の方に気を取られますが、トイレに関しても備えを忘れないようにしましょう。

会社を避難所として活用する場合、食料も十分に備えることになりますが、その場合トイレも十分に備える必要があります。上下水道のチェックが完了しないと水洗トイレは使用できませんので、その間は非常用トイレを活用することになります。

トイレに関しては別途記事でご紹介しておりますので、そちらをご参照ください。

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