ニューノーマルのフリーアドレスオフィスはどうあるべきか

フリーアドレスオフィス
オフィス環境

社員が自分の固定の机を持たず、出勤したらオフィスの大きなテーブルや点在するワークスペースなど、好きな場所で仕事をする。2000年代以降の海外ドラマや、広いオフィスをカラフルでおしゃれなインテリアで調えたクリエイティブ企業やIT企業で採用されているイメージが強いフリーアドレスですが、意外なことにこのスタイルが初めて取り入れられたのは80年代半ば。それも、いくつかの日本企業が実験的に始めたのが最初だったと言われています。

とはいえ、当時はまだ携帯電話もインターネットもない時代。パソコンもかろうじて液晶ディスプレイが付いた、ラップトップパソコンが普及していた程度で、まだまだ書類仕事が多かった時代です。

当時のフリーアドレスの試みは、仕事のやり方というよりは、限られたオフィススペースをいかに効率的に使うかという、省スペースのために編み出されたスタイルだったので、日本で生まれたのも納得できます。しかし、結局は利便性の問題から、当時は単なる実験で終わり、普及はしませんでした。

フリーアドレスオフィス

それが、90年代以降になると、携帯電話やノートパソコンの普及により、ワークスタイル面からも固定のデスクは必要ないのではないかという意見が出るようになってきます。また、フレックス制度や働き方の見直し、自由なワークスタイルの尊重など、ワーカーの立場に立って働き方を考えるようになりました。以降のワークスタイルはフリーアドレス2.0と呼ばれ、その時代になって、世界中で広く採用されるようになりました。

しかし、コロナ禍においては、フリーアドレスどころか、オフィスワークそのものが見直される事態となりました。2022年の現在では、COVID-19と共に生きること、そして新たな感染症や災害が起きたときのレジリエンスを前提とし、再びオフィスワークに戻りつつもリモートワークも積極的に行なっていく、ハイブリッドワークスタイルが主流になると言われています。

実は、このハイブリッドワークスタイルに最もフィットしやすいのがフリーアドレスでした。固定デスクにより、出勤しない社員の分までワークスペースを確保する必要がありませんから、当初の目論見であった「省コスト」も同時に叶えられます。また、フリーアドレスというワークスタイルに適応していた社員は、コロナ禍が始まってからのリモートワーク環境にも、比較的対応しやすかったという話もあります。

とはいえ、コロナ禍の前と後で、全く同じスタイルのフリーアドレスに戻すことには多少の問題もあります。コロナ禍以前のフリーアドレスでは利点とされていた部署を跨いでのコミュニケーションは不必要に社員同士が接触する機会となってしまいますし、不特定多数の社員が1日のうちに同じテーブルやデスクを使い回したり、いくつものワークエリアやトイレ、ドリンクベンダーを使って回るという状態は、感染予防という観点からは望ましくないものとなってしまったのです。では、これからのフリーアドレスオフィスはどうあるべきなのでしょうか。

フリーアドレスオフィス

まず、完全にワークスペースを解放するのではなく、部署によって固定デスクとフリーアドレスを分ける、フリーアドレスのワークスペースを部署ごとに分割するなど、ある程度は人の流れを限定的にすることです。

特に、電話やオンラインミーティングが頻繁な部署、共有の機材や書類、資料、サンプルモデルなどを手に取る必要がある部署、またクライアントに対する対面でのミーティングに利用するスペースは固定とし、スペースを使用した人の把握や、使用後の清拭ができるようにしておくと良いでしょう。さらに、固定スペースの利用者の人数は少なめに設定してデスクの距離を確保する、外部からのゲストとの対面ミーティングが多い場合にはパーテーションや空気清浄機、空調を活用する、共有物に触れる前後に使える消毒薬を配置するなどの配慮があれば万全です。

フリーアドレスエリアにおいても、利用する部署ごとにエリアを限定し、利用者がどこをいつ使い、利用者同士がどこで同じスペースに居合わせたのか把握できるようにしましょう。食事をして休憩するためのカフェエリアとワークスペースは今のところ完全に分けるべきです。以前のような自由なコミュニケーションやコラボレーションの機会、リラックスできる作業空間の実現はかなり軽減されてしまいますが、完全なリモートワークを続けるよりは遥かに利点があると言われているからです。

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ところが、2022年に入り、オミクロン株の出現により、またも情勢が変わってきました。モノに残留するウィルスよりも、同じ空間を共有することで容易に拡がるということは、パンデミックの第6波突入のスピード感とともに明らかになったからです。オフィス管理の観点からは、いつどこで誰と誰が「近くにいたか」を把握し、感染者や濃厚接触者と体調不良を訴える社員との関連を早期に見抜き、それが警戒すべき症状なのか、それとも社内的には関連がないのかを迅速に社員に伝えることができるかどうかがオフィスワークを管理する立場からは重要となるでしょう。

フリーアドレスオフィス

そうした、時代と共に変化していく自社のフリーアドレスオフィスを、オープンな実証実験の場として展開しているのが、株式会社オカムラの『CO-RiZ LABO』です。オフィス構築の生きた実例として見学を受け付けています。見学は完全予約制で、モリイチを通して申し込みできますので、お気軽にお問い合わせください。

オカムラ 京橋トラストタワー 『CO-RiZ LABO』 | Design Stories / デザインストーリーズ|オカムラ WORKPLACE (okamura.co.jp)

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