空気の流れを制してオフィスの安全を確保する

2021.11.30

オフィス環境

出勤がマストなオフィスでは、換気も必須

リモートワークの徹底が叫ばれている現在ではありますが、それでも出勤が必要となるオフィスはまだまだ数多く存在しています。なぜ出勤が必要になるのかの理由は様々ですが、ひとつには「スタッフ同士が対面する必要があるから」ということが挙げられます。そして、対面の必要があれば、そこには会話やモノの受け渡しが発生するということになります。

コロナウイルス感染症が流行し始めた頃から、換気の重要性は注目されてきました。しかし、これまでオフィスの空調といえば温度管理の方にばかり目を向けがちで、換気に関してはさほど気をかけられていません。高層のオフィスビルなどでは窓が開かない部屋も多く見受けられます。もちろん窓が開かないオフィスでは、空調設備そのものに換気機能がありますが、感染症対策を考えるなら、一度空気の流れがどのようになっているのかを把握する必要があります。会議室やパーテーションで区切られた場所、休憩スペースなどの狭いプライバシー空間は特に注意深くチェックしてください。エアコンの風が十分に届かないことが多いだけでなく、人が集まって会話をしたり、飲食をする機会も多い場所だからです。また、エアコンの吸排気の流れも把握して、効果的な換気方法を検討しましょう。

2020年の11月に厚生労働省が冬場の換気方法を、主に飲食店や店舗などの商業施設に向けて公開していますが、基本的な考え方はオフィスでも、また夏場でも同様で、窓やドアを開ける、HEPAフィルターによる濾過機能のある空気清浄機を使用する、エアコンの換気システムによる換気量を確保することが主軸となります。

換気状態をCO2の数値でチェックする

しかし、明らかに風が来ている、空気の流れを肌で感じられる場所以外は、十分に換気が行き届いているのか、空気が淀んでいないかを感覚で判断することはなかなかできません。そこで、炭鉱のカナリヤではありませんが、ヒトの感覚よりもっと鋭敏なセンサーを使って空気の状態をチェックしましょう。ウイルス感染症対策が必要になって以来、CO2センサーが付いた空気清浄機が各社から販売されるようになりましたし、空気清浄機能のない、小型で安価なCO2センサーもいろいろ発売されています。

CO2濃度によって自動的に風力を調整して撹拌するだけでなく、換気が必要なCO2濃度を検知した際にはアラートを鳴らして換気を促す。オフィスに置きやすいスリムな縦型。

乾電池式で置く場所を選ばず、大きな液晶で二酸化炭素量を表示するほか、基準値を上回るとアラームが鳴り、換気を促す。

数字と色の大きなデジタル表示が目につきやすく、換気への意識づけに有効。USB給電できるため充電や電池交換の手間がなく、オフィス設置に適している。

厚生労働省のガイドラインでは、「人体から発生する二酸化炭素に基づき計算すると、室内の二酸化炭素濃度を 1000ppmに維持することは、1人あたりの換気量として毎時約30m3を確保することに相当する（空気調和・衛生工学会（1972））。ビル管理法の空気環境基準においては、換気量ではなく、二酸化炭素の濃度を1000ppm以下とすることを規定し、二酸化炭素濃度を定期的に測定することを求めている。」としたうえで、適切な計測値の扱い方や、計測法などについて細かく記載しているので、参考にするとよいでしょう。

最近になってCO2測定機の数値のかなりのばらつきも指摘されていますし、二酸化炭素濃度＝ウイルスの量というわけではありませんが、呼気の濃度が数値で見えるのは、心理的に大きな効果があります。１時間に何分間窓を開ける、といった作業を、仕事中にこまめに行うのはなかなか難しいですが、変化していく数値が見えるようにすることで、その場にいるスタッフの換気に対する意識が高まるという利点もあります。

シンプルだが効果的なサーキュレーター

窓やドアを常時開けることが可能なオフィスなら、2ヶ所以上の窓やドアを常時開けることでも、かなり効果が期待できます。どうしても空気がこもる場所には、サーキュレーターや扇風機を設置し、空気を撹拌するのは、シンプルですが大きな効果があります。飛沫防止の観点から衝立やビニールカーテンを使っているケースも多いと思いますが、それによって空気の流れが堰き止められないように十分に配慮してください。