防災備蓄よりローリングストック中心で食品、消耗品は効率良い備えを

防災備蓄
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防災備蓄を備える際、課題になるのが「何を」「どれくらい」「どこに」備えるか、という問題です。家庭では、日々の食事の用意などもあるので、缶詰やレトルト食品、乾麺や米などの食料は一定量ありますが、会社では食料に関しては来客用の茶菓程度しかないこともあります。

一方で文房具や事務用品は在庫がある場合がありますが、防災用の工具などは十分な備えがないこともあります。会社が自社ビルなのか、大規模な商業ビルのテナントで入っているのかでも、対策は異なるので一概にこうすべきというものはありませんが、まさに企業としての「マイタイムライン」を設定して、必要な備えをする必要があります。

ローリングストック以外の防災備蓄を算出

防災備蓄

ローリングストックを活用するには、ローリングストックで対応できない備蓄の種類と分量を算出する必要があります。具体的には、非常用トイレや帰宅支援用の防災セット、ヘルメット(日常業務で使用しない社員向け)などが考えられます。

防災備蓄に関しても、倉庫の奥にしまったままではいざという時に活用できません。フリーアドレス化が進んでいるオフィスでは、決まった座席がないのでどこに備えておくのかという課題もありますが、なるべく個人に割り当てられたスペースに配備しておくのが良いでしょう。非常用トイレなども、トイレ近くのトイレットペーパーなどをストックしておく倉庫や保管エリアなどを活用するのも一つのアイディアです。オフィスの移転などでこれから間取りや使用エリアの計画をするケースでは、非常用トイレの備蓄など、防災備蓄を効率よく行える空間設計を行うと良いでしょう。

ローリングストックすべきアイテムとその管理方法

防災備蓄

防災備蓄が確認できたらローリングストック用のアイテムを考えます。主に、トイレットペーパーやペーパータオル、文房具、茶菓などの日常の消耗品などが相当すると思います。

多くの場合、部署やフロアで都度補充するための保管エリアやストック箱が用意されています。大企業では、さらにフロアや建物全体で、それら消耗品を一括で保管しておく倉庫がある場合もあります。また、ビル管理会社などが入っている場合、トイレットペーパーやペーパータオルなどの消耗品の管理、補充は管理会社にお任せという場合もあるかもしれません。

それ以外の消耗品は、自社で管理することになりますが、BCPを含めた日常業務のためのローリングストックと、非常時を想定した(非常時に使用頻度が高まることが予想される)日用品をうまく計算してストックしておく必要があります。

ゴミ袋やガムテープ類は、日常では梱包作業などで使用すると思いますが、非常時には補修用などで使用頻度が変化する(増える)ものもあります。非常時に頻度が下がるものは日常用途に合わせた分量があればいいですが、非常時に使用頻度が高くなることが予想されるアイテムは、多少余裕を持ったストックであると安心です。

一方で、一律なローリングストックでは有効に機能しない場合があります。例えば、割れた窓ガラスの補修や一時的な代替として期待されるゴミ袋やガムテープ類ですが、自社ビルの低層階であれば有効に機能するかもしれませんが、オフィスビルの高層階だとその程度の補修では追いつかないことも考えられます。そうなったらオフィスの使用を諦めて避難する方が良いというシナリオもあります。ヒビくらいであればそれ以上破損しないように補強するということでガムテープ類は活躍するかもしれませんし、ゴミ袋もビル管理の回収が追い付かないなどを想定して自社でも用意しておくなどはあるかもしれませんが、いずれにしても、マイタイムラインを設定して想定される被害と対策に応じた備蓄を用意するのが重要です

オフィス用品のローリングストックに関しては、自社で個別に調達する場合は総務などで購入数と在庫数などの管理をしっかりと行う必要がありますが、一括して取引業者に任せている場合には、常に必要数があるように補充してくれるので、総務は部署への配備だけをすれば良いので負担が軽減される場合があります。会社の規模や業務に応じてアウトソーシングも有効かもしれません。

過剰な備蓄、対策とならないための基準づくりを

防災マニュアル

新しいオフィスビルは、耐震基準も充分満たしており、浸水被害に対しての対策も取られている場合があります。そういったオフィスビルに入居しているテナント企業は、主にBCPと籠城できるだけの備えがあれば良いとうことになります。逆にいうとオフィスが機能しないレベルでダメージを受けた場合には、そこにとどまることは早期に諦めて別の対策に移行するという取り決めを事前にしておけば、どうにかオフィスを維持しなくてはと費用対効果の悪いリソースの投入を避けることもできます。

また、自社(部署)が、そのような災害時でも機能させておかなければならないものかというのも考える必要があります。緊急性の高い物資や機能を提供する部門、業種では災害時こそ機能させておく必要があるかもしれませんが、そこまで緊急性の高くない業種や部門などは機能させないことが防災になることもあります。

頻繁に起こり得る事例では、大雪や台風などで交通機関が止まるといったケースでは、防災対策が必要になる前に退勤させたり、リモートワークの指示をすることで防災体制の不感を軽減させることができるのであれば、防災のための備えを減らすことができます。

大きな地震などが業務中に発生した場合などは、すぐに帰宅させることはかえって危険なので、オフィスが無事なら状況がはっきりするまではオフィスに止まる、家族が心配な人だけは帰宅させるなど、事前の取り決めやシミュレーションに沿った対策となります。その際も、状況が落ち着いたら全員帰宅させて業務再開までは各自避難生活とするのか、一部の必要業務は継続させなくてはならないのでオフィスを避難拠点として運用しながら業務も継続するなど、自社の業務や位置付けに応じて対策も異なると思います。

このように、自社(部署)の役割やどの状況まで機能を維持し続ける必要があるか、と社屋の状況、などをマイタイムラインに組み込んで、備蓄やローリングストックを考えましょう。

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