リモート会議で重要なのはカメラよりマイク

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まずカメラが必要だった初期リモート会議

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リモートであろうと、顔を突き合わせてであろうと、会議やミーティングで最も重要なのは言葉です。どんなに素晴らしい意見でも、伝わる言葉で語られなければ、誰にも届かないし、魅力的な表情や明るい笑顔だけで進むビジネスはありません。表情や笑顔も、発言内容があるからこそ、その上であれば役立つこともあるというようなものです。

リモートでの会議やミーティングが一般的になった当初、パソコンに付属しているカメラを使って自分を撮影するという、これまでほとんど必要ではなかった機能を使わなければならなくなったため、何となくカメラに注目が集まり、カメラが内蔵されていないパソコンも多かったため、PC用のカメラが品薄になったりもしましたが、会議やミーティングに於いて、カメラはそんなに重要なのかというのは、ようやく、最近になって議論されるようになりました。

それ以前、マイクは多くのパソコンに内蔵されていたこともあり、そうでなくてもカメラにマイクが付いていることも多く、良いカメラを用意すれば、快適な会議環境が整うという記事が多く書かれました。確かに、良いカメラを導入すれば、自分の姿がきちんと映ります。会議のメンバーの顔を見ていても、画質の良し悪しは分かりやすいため、気になる人が多かったのも事実です。映りが良いカメラは、良いマイクが内蔵されていることも多く、一刻も早くリモート会議が行える環境を整えることが重要だった、コロナ禍初期の2020年春から夏には、まずカメラだということになったのは仕方なかったのです。

リモート会議に慣れてくるとマイクの重要性が分かってくる

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しかし、リモートでの作業が一般的になり、回数を重ねる内に、カメラは本当に必要か?という意見が出ると同時に、聞き取りやすい喋り方、説得力のある話し方といった「言葉と喋り」のスキルがクローズアップされてきました。実際、顔を突き合わせての会議にせよ、それほど相手の表情を見ていたのかという問題はあります。相手の話をメモしたり、提示された資料を見ながら話を聞く訳で、顔を見て話を聞くというのは、会議やミーティングに於いては、まず行わないものなのです。インタビューや対談でさえ、相手の顔を見ないケースが増えたのが、パソコンでメモやノートを取るようになった時代のスタイルで、それにはコロナもリモートも関係ありません。

しかし、言葉は聞き取りにくいと困るのです。その点では、実際に集まって行う会議よりもリモート会議の方が相手の声が聞きやすくなりました。何といってもリモートなら、相手の話し声の大きさを、自分の手元でコントロールできます。また、声が小さい人でもマイクを通せば、大きな声として相手に伝わります。無理に大きな声を出したり、声を張ることなく、相手に言葉を伝えられますし、資料の提示や、分かりにくい部分を文字にして表示するといったことも出来るので、声と合わせれば、かなりの情報量を伝えられるのです。

マイク選びは性能の良し悪しより自分との相性

それだけに、使っているマイクの性能は重要になります。そして、カメラの場合は、綺麗に映るとか、設置しやすいとか、レンズの焦点距離や明るさといった部分がポイントになっていて、それらは、比較的、どういう状況の人でも、「良い」とされるものを買えば、特に問題が起らない「分かりやすさ」がありました。しかし、マイクの場合、例えば、喋りながら、資料を見たり探したり、メモを取ったりしがちな人は、ある程度、指向性の無い、広い範囲の音を拾うマイクが必要になりますし、周囲の音がうるさい環境の人は、マイクに周囲の音が入りにくい、指向性の強いマイクが必要になります。喋る際に、息の音が強く出る人は、風防がしっかりしたマイクが必要ですし、声が小さい人は感度の良いマイクが欲しくなります。

つまり、マイクの場合、「ベストバイ」というのが存在しないのです。その分、自分に合った製品を使えば、自分よりも、相手に快適に話を聞いてもらえるわけで、それは会議全体の効率化、スピードアップ、内容の充実に繋がるはずです。これは、リモート会議で筆者が経験したことですが、マスクをした状態で、ヘッドセットでリモート会議に出席していた人の話し声がとても聞き取りにくかったのです。ただでさえマスクのまま喋ると籠りがちになって聞き取りにくい上に、ヘッドセットのマイク部分がマスクに擦れたりしてノイズが入り、とても聞き辛かったのです。また、ヘッドセットのマイクはあまり高性能なものではないという問題もありますし、口の近くで音を拾うので、音が歪みやすく、息の音が入りにくいのです。それでもマスク無しなら、それほど問題にはならないのですが、会社からのリモート会議への参加時には、当然マスクを着用しますから、そういう問題も起きてきます。

会議の相手へのモニタリングがマイク選びの決め手

まず、自分の声が相手にどう聞こえているかをチェックしましょう。カメラの映りは自分で確認できますが、音は、相手の再生環境もあって、自分では中々確認できません。聞き取りにくいという人がいないかの確認は、とても重要です。こちらからも聞き取りにくい人がいたら、マイクに問題があるのではないかと指摘してみましょう。

そして、前述したように、自分の環境や声の大きさ、声の質に合わせてマイクを選びます。自分に合うマイクを見つけるのは結構面倒で難しい作業ですが、それほど厳密である必要はありません。自分の声や喋り方の欠点をフォローしてくれる機能があるかをざっくりチェックすれば良いのです。また、とても聞きやすい相手がいたら、どういうマイクを使っているかを聞いてみましょう。

表情で何かを伝えるのは難しいですが、言葉なら、相手に正しく聞こえさえすれば、比較的、伝えやすいものです。それだけでも、カメラよりもマイクが重要だということが分かります。

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