リモートワーク時代の椅子選び

リモートワーク

コロナ禍でゲームチェアが売れたわけ

普段仕事などで会社で使われているオフィスチェアーと、リモートワークで使う椅子には、とても大きな違いがあります。それは、会社と自宅では、床の構造が全く違うから、同じ椅子だと家を傷める可能性が高いということです。また、椅子は自宅に置くと思った以上に大きく、場所を取ります。しかし、小さな椅子は、一日中座っていると腰や腕への負担が大きく、仕事の効率も下がってしまいます。

コロナ禍の中、リモートワーク用の椅子としてゲームチェアが売れたのは、ゲーム用に作られた椅子は、比較的安価だけれども、体全体を包み込む構造になっていて、楽に長時間座れることが要因でした。同じ理由で、背もたれが高く首の上までサポートする、いわゆる「ハイバック」やヘッドレストが付いた「エクストラハイバック」仕様の椅子も好評だったようです。

背もたれの高さの問題

コクヨ エアフォート
コクヨ|エアフォート

コクヨエアフォート
実勢価格:約88,000円〜120,000円
サイズ:H990〜1080mm×W680mm×D680mm(ハイバックの場合)

確かに、ハイバックの椅子は背もたれに寄りかかるととても楽です。マウス操作と画面を見るだけで済む打ち合わせのような作業をリモートで行うには、とても良い選択になるでしょう。例えば、コクヨの「エアフォート」なら、オフィスチェアとしての機能性と、ハイバック仕様ならではの長時間の作業への対応、ひじ掛け無しが選べるなど、自分好みにカスタマイズ可能。デザインも、エグゼクティブの使用に耐える高級感があります。ただ、キーボードを打ったり、資料を読み込んだりという作業がメインの場合、実のところ、背もたれにもたれる時間は少なく、ハイバックの椅子は、場所を取るデメリットの方が強く出てしまいます。実際、ハイバックの椅子に座ってみると分かるのですが、背もたれに身体を沈ませるように座ると確かに快適です。しかし、逆に前傾姿勢が取りづらいため、マウス操作よりもキーボード操作が中心の作業ではヘッドレストがあまり意味がない物になってしまいます。いくつもの椅子に座り比べた結果感じたのは、背もたれは「ローバック」と呼ばれる、肩甲骨の下辺りまでの高さのものが、作業するには楽だということでした。

ハーマンミラー セイルチェア
ハーマンミラー|セイルチェア

●ハーマンミラー|セイルチェア
価格:83,600円〜
サイズ:H882〜997mm×W622mm×D660mm

 例えば、オフィスチェアの名品として長くベストセラーを続ける、ハーマンミラーの「アーロンチェア」は、その特徴的なハイバックの背もたれが人気のポイントのひとつになっていますが、近年、リモートワークにも向くということで販売数を伸ばしている同じくハーマンミラーの「セイルチェア」や、様々な仕様に対応することで、リモート用としても人気が高いイトーキの「ノートチェア」では、ローバックタイプが最も売れています。

 特に、このハーマンミラーの「セイルチェア」は、予算さえ許せば、リモート用椅子のひとつの頂点とも言える出来。背もたれをフレームレスの構造にしたことで、全体にコンパクトな印象を与え、高機能のオフィスチェアの割に圧迫感が薄いのが良いのです。またリクライニングや高さ、腰のサポーターの位置といった操作が座ったまま行える操作性の良さなど、家庭での利用を想定したかのような設計になっています。リモートワークが長期間業務の中心になるのなら、こういう椅子を選ぶと後悔なく、効率的な仕事が行えるでしょう。

オフィスチェアの脚は自宅には向かない

イトーキ バーテブラ03
イトーキ|バーテブラ03
●イトーキ|バーテブラ03
価格:53,600円〜
サイズ:H810mm×W560mm×D515mm(四つ足)

家庭に椅子を置く場合のもう一つのポイントは脚の形状と構造です。例えば畳の部屋には椅子は置けませんし、フローリングの床にはキャスター付きの椅子は置けません。どうしてもの場合は、マットを敷いてキャスターが無いタイプの椅子を選ぶ必要があります。

イトーキがリモートワークを推進するにあたって、社員に安く椅子を売るキャンペーンを行ったところ、最も売れたのが「バーテブラ03」の四つ足タイプだったそうです。この椅子は、オフィスチェアとしての機能を備えながら、四つ足タイプが選べて、デザイン的にも一般の家庭の中に置いても違和感がありません。そういうタイプの椅子はまだとても少なく、その「家庭の中で浮かない、邪魔にならない」デザインの椅子は、これからの人気商品と言えるでしょう。

身体に合わせる、部屋に合わせるの両面を考える

オカムラ Lives エントリーチェア コンパクトタイプ
オカムラ|Lives エントリーチェア コンパクトタイプ
●オカムラ|Lives エントリーチェア コンパクトタイプ
価格:37,000円前後〜
サイズ:W597mm×D597mm×H770〜862mm

さらに、コクヨの「ing」のような、長時間座っている際の腰への負担を徹底的に少なくする機能を持った健康指向の椅子や、同じくコクヨの「Wizard3」のような、価格的には安価で突出した特長はないものの、耐久性が高く、機能的にも過不足が無いタイプ、オカムラの「Lives」のエントリータイプのような、安価だがひじ掛けが無いタイプを選べるなどの条件に合わせたカスタマイズができるタイプなど、リモートワーク用の椅子に求める機能に合った椅子も多くなってきました。

とりあえずのチェックポイントとして、置けるスペースと椅子のサイズの関係、ひじ掛けは本当に必要なのか、背もたれは仕事に役立つのか、脚は床を傷めないか、長く家に置いておきたいと思えるデザインなのか、といったあたりを、よく考えて選べば、失敗は少ないと思われます。あと、実際に座ってみる場合、リラックスした姿勢での楽さではなく、前傾姿勢でキーボードを打ったり、書類に書き込んだりといった姿勢が楽に取れるか、腰への負担が少ないかを重視するのが、失敗をしないコツです。

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